【第五話】 遊佐が舞台の営み、育み醸す農の文化。【後篇】
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鳥海山の恵みをまるごといただく
大人の甘口「遊佐カレー」。
いま注目のカレーがあります。その名も「遊佐カレー」。遊佐町特産のパプリカ、タマネギ、さつまいもなどをベースに溶けるまで煮込み、野菜の甘さと旨味が凝縮したハンドメイドのカレーです。
2010年、遊佐町の恵まれた地域素材をたっぷり活せるカレーに目をつけ、町内のシェフや生産者、カレー専門家などを中心に立ち上がった遊佐カレー開発プロジェクトがことはじめ。約2年の歳月かけて、2012年に「鳥海山の恵みをいただくカレールウ」が完成します。
開発者の言葉を借りれば、「辛口にするだけなら辛みスパイスを加えるだけで調理は簡単。しかし、甘口は甘み調味料を加えるだけでは成り立ちません。子ども向け甘口とは異なる、大人も楽しめる甘口、鳥海山の水をたっぷり含む遊佐の野菜、季節の魚介など、具材の甘さを引き出すやさしい味をめざしました」とのこと。
カレールウ販売の翌年には、専門店「遊佐カレー遊佐駅本店」がオープン。ほかにも、町内の道の駅、レストラン数店舗で提供され、製法をそのままにレトルトも追って誕生しました。
遊佐カレーの定義は3つ。「具材は後のせが基本」「無添加であること」「野菜の甘さを活かした甘口なれどスパイシーさも感じる大人の甘口であること」。
なかでも、遊佐カレー遊佐駅本店の一番人気「旬の野菜カレー」は、パプリカ、ナス、しめじ、ニンジン、カボチャ、ブロッコリー、インゲン、ラディッシュ、レタス、キャベツなどなど、季節によって10〜12種類もの素揚げや蒸し野菜が後乗せトッピングされ、彩りも鮮やかです。
遊佐の無農薬・特別栽培の食材をふんだんに使ったという謳い文句どおり、ご飯も町内産ササニシキを鳥海山山麓に湧く「さんゆうの湧水」で炊き上げる徹底ぶり。
口に運び、まず感じるのはまろやかな甘さとスパイシーさ、そしてパプリカの香りと深いコク。これなら辛口好きでも物足りなさはありません。生産者のこだわり、素材を大切にする仕立て、遊佐の魅力が一皿にてんこ盛りです。
もし遊佐町に足を運ばれた際はぜひ!の逸品です。